介護タクシーを初めて使う日、家族が気にするのは車両や介助のことだけではありません。「降りるときにいくら払うのか」「介護保険を使った分はどこから請求が来るのか」「領収書は何に使うのか」。料金の総額は見積もりで聞いていても、支払いの流れまでは聞きそびれていた、という声はよくあります。

結論から書きます。

  • 介護タクシーの費用は運賃・介助料・機器レンタル料の3つに分かれ、介護保険の対象になり得るのは介助料だけです。運賃と機器レンタル料は、保険を使う日も自費です
  • 介護保険を使う場合、介助分の自己負担(所得に応じて1〜3割)は、保険の請求が月単位で行われる関係で、当日ではなく月ごとにまとめて請求する事業所もあります。当日払いか月ごとの請求かは事業所の運用で決まるため、予約時に確認します
  • 介護保険を使った回の領収書は、保険の対象分とその他の費用を分けて書くことが法令で決まっています。医療費控除や生活保護の移送費の相談で使うため、3つの費用が分かれた形で受け取り、保管します

介護たくしーさーちは、事業所の検索・比較と問い合わせの窓口を提供するサイトです。配車の手配や予約の代行、料金の取次は行っていません。支払い条件は、この記事の確認項目を使って各事業所に直接聞いてください。

介護タクシーの料金は、誰にいつ払う?

運賃・介助料・機器レンタル料の3つを、原則として利用した介護タクシー事業所に払います。ただし保険を使う介助分だけは、請求の区切りが月単位になることがあります。

介護タクシーの料金は、次の3つの費用で組み立てられています。

費用何に対する費用か介護保険
運賃車で移動することそのもの(距離や時間で計算)対象外(自費)
介助料乗り降り、玄関から車までの移動、受診手続きなどの介助要介護1〜5の方がケアプランに位置づけて利用する場合は対象になり得る
機器レンタル料車椅子・ストレッチャーなどを事業所から借りる費用対象外(自費)

3つの費用の内訳と、それぞれの金額がどう決まるかは介護タクシーの料金はなぜ分かりにくい?運賃・介助料・レンタル料の内訳で整理しています。この記事では、その3つを「いつ、どうやって払うか」「領収書でどう確かめるか」に絞ります。

支払い先は、多くの場合ひとつの事業所です。介護保険の通院等乗降介助は、道路運送法の許可を受けたうえで訪問介護事業所としての指定も受けた事業所が提供するため、運賃を受け取る会社と介助分を請求する事業所が同じ法人になるのが一般的な形です。家族からは「1社に払っている」ように見えても、中身は計算の根拠が違う3つの費用が並んでいる、と考えると後の話が分かりやすくなります。

運賃・介助料・機器レンタル料の3つについて、何に対する費用か、介護保険の扱い、予約時に聞くこと、領収書で見る点を並べた図

介護保険を使うとき、介助分の支払いはどうなる?

介助分は、介護保険から9〜7割が事業所に支払われ、残りの1〜3割を利用者が払います。事業所が保険の請求を月単位で行うため、自己負担分も月ごとにまとめて請求されることがあります。

通院等乗降介助は、訪問介護のサービスのひとつです。事業所は、利用した月の分をまとめて翌月に国民健康保険団体連合会へ請求し、利用者からは自己負担分を受け取ります。このため、当日の降車時には運賃だけを払い、介助分の自己負担は翌月に他の訪問介護サービスと合わせて請求される、という流れになる事業所があります。反対に、当日その場で3つの費用をまとめて受け取る事業所もあります。どちらになるかは事業所の運用次第なので、「保険分は当日払いですか、月ごとの請求ですか」と一言聞いておけば迷いません。

自己負担の割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかで、介護保険負担割合証に書かれています。割合を事業所に伝える必要がある場合もあるため、予約の段階で手元に用意しておきます。

気をつけたいのは、ケアプランに位置づけられていない外出や介助は保険の対象にならず、介助料も自費になる点です。たとえば通院の予定はケアプランに入っていても、帰りに買い物へ寄る部分は対象外になることがあります。保険が使える外出の範囲は介護タクシーはケアマネジャーへの相談が必須?ケアプランに入れないと保険が使えない理由で詳しく整理しています。

介護保険分の自己負担は、訪問介護やデイサービスなど他の介護保険サービスの自己負担と合わせて、ひと月の上限を超えた分が戻る「高額介護サービス費」の計算対象になります。運賃と機器レンタル料は保険の給付対象外なので、この計算には入りません。上限額や申請方法は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で確認してください。

運賃と機器レンタル料は、どう払う?

運賃と機器レンタル料は保険を使う日も全額自費で、当日その場で精算する形と、後日まとめて請求する形があります。使える支払い方法も事業所ごとに違います。

運賃は、地方運輸局の認可を受けた運賃などにもとづき、距離や時間によって計算されます。機器レンタル料は、事業所の車椅子やストレッチャーを借りた場合に加わる費用で、自前の車椅子を載せる場合はかからないことがあります。機器ごとの料金の聞き方は車椅子・ストレッチャー貸出料金の確認ポイントにまとめています。

支払いの方法は、現金のほかにクレジットカード、電子マネー、口座振替、請求書による振込などがあり、どれに対応しているかは事業所によって異なります。定期的な通院で毎回同じ事業所を使う場合は、月ごとの口座振替や請求書払いに切り替えられるかを聞いておくと、毎回の現金の用意がいらなくなります。

自治体の福祉タクシー券などの助成を使う場合は、その事業所が券の取扱い先として登録されているかを先に確かめます。券を充てられる費用(運賃だけか、介助料にも使えるか)や1回に使える枚数は、自治体ごとに決まっています。確認のしかたは自治体の福祉タクシー券を確認する方法で整理しています。

領収書では、何を確認すればいい?

介護保険の対象分、運賃、機器レンタル料が、それぞれ別の行に書かれているかを見ます。介護保険を使った回は、事業所はこの区分で領収書を出すことが決まっています。

介護保険法施行規則第65条は、指定居宅サービス事業者が交付する領収証について、介護保険の対象として算定した費用の額と、その他の費用の額を区分して記載し、その他の費用は個別の費用ごとに区分して記載するよう定めています(e-Gov法令検索:介護保険法施行規則)。通院等乗降介助を使った回であれば、介助分と、運賃や機器レンタル料が分かれて書かれているのが本来の形です。

介護保険を使わない自費だけの利用では、この決まりはそのまま当てはまりません。それでも3つの費用を分けた領収書を頼んでおくと、後で次のような場面で確認がしやすくなります。

  • 医療費控除を検討するとき: 通院のための移動費用が控除の対象になるかは、移動の目的や手段によって判断が分かれます。利用日・行き先・費用の内訳が分かる領収書が判断材料になります。考え方は介護タクシー費用と医療費控除を確認するときを参照してください
  • 生活保護の移送費を相談するとき: 福祉事務所に交通費として認めてもらう手続きでは、領収書の提出を求められることがあります。相談の順番は生活保護を受けていても介護タクシーは使えますか?費用の相談先と最初の一歩で説明しています
  • 家族の間で費用を分けるとき: きょうだいで通院費を分担している場合、どの費用が保険分でどれが自費分かが分かると、立て替えた分の精算で揉めにくくなります

領収書に書いてほしい項目(利用日、出発地と行き先、費用ごとの金額、宛名)は、初回の予約時に伝えておくのが確実です。当日の降車時に頼むと、事業所によっては後日の発行になることがあります。

家族が立て替えるとき、何を決めておく?

支払う人、請求書や領収書の宛名、送付先の3点を、初回の利用前に家族の間で決めて事業所に伝えます。

介護タクシーを使うのは本人でも、支払いを担うのは同居していない子どもだった、ということは珍しくありません。その場合、次の点を先に決めておくと、月ごとの請求が届いたときに戸惑わずに済みます。

  • 支払う人: 本人の口座から払うのか、家族が立て替えるのか。口座振替にする場合は名義を誰にするか
  • 宛名: 領収書の宛名は本人にするのか、支払った家族にするのか。医療費控除では、本人と生計を一にする親族が支払った医療費を合算できる場合があるため、誰が払ったかが分かる形にしておく
  • 送付先: 月ごとの請求書や領収書を本人宅へ送るのか、家族の住所へ送るのか

遠方に住む家族が手配と支払いを担う場合の確認事項は、遠方の家族が介護タクシーを探すときにもまとめています。本人の情報を家族が事業所に伝える場面が増えるため、本人の同意を得たうえで話を進めます。

予約のときに、支払いについて何を聞けばいい?

見積もりの金額と一緒に、支払いの時期・方法・領収書の形を、次の5つの質問で確認します。

  1. 当日に払うのはどの費用で、後日請求になるのはどの費用か
  2. 使える支払い方法(現金、カード、口座振替、振込など)
  3. 介護保険分の自己負担は、当日払いか月ごとの請求か
  4. 領収書で運賃・介助料・機器レンタル料を分けて書いてもらえるか
  5. 福祉タクシー券などの助成が使えるか、使える場合はどの費用に充てられるか

見積もりを複数の事業所から取るときも、この5つを同じ順番で聞いておくと、金額以外の条件を比べやすくなります。見積もりの比べ方は介護タクシーの見積もりは何社に取ればいい?で説明しています。

支払いで起こりやすい行き違い

保険分の請求が後から届いて二重払いを疑う、領収書が1行の合計金額だけで控除の確認に使えない、といった行き違いは、予約時の確認で防げます。

  • 翌月に届いた請求を二重請求だと思い込む: 当日は運賃だけを払い、介助分の自己負担が翌月に届く流れを知らないと、同じ日の料金をもう一度請求されたように見えます。請求書の利用日とサービス名を照らし合わせれば、別の費用だと分かります
  • 領収書が合計金額だけになっている: 自費の利用で内訳のない領収書を受け取ると、医療費控除の確認に使いにくくなります。内訳付きの発行は初回の予約時に頼んでおきます
  • 保険が使えると思っていた介助が自費になった: ケアプランに入っていない立ち寄り先があった、要支援の認定だった、といった理由で介助料が全額自費になることがあります。要支援の方の扱いは通院等乗降介助の対象外です
  • 福祉タクシー券が使えなかった: 券の取扱い登録がない事業所だった、または券を充てられる費用が限られていた、というケースです。事業所と自治体の両方に確認します

どの行き違いも、事前に「どの費用を、いつ、どう払うか」を事業所と確かめておけば起こりにくくなります。

支払い条件は、問い合わせの段階で確かめる

支払いの時期や方法、領収書の形は、料金の金額と同じくらい事業所ごとに違いがあります。予約の電話では、金額に加えて上の5つを聞いておくと、当日の精算とその後の手続きがまとまります。

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