介護タクシーを初めて使うと決めたとき、実際にいちばん緊張するのは、事業所に電話をかける瞬間かもしれません。「何を聞かれるんだろう」「うまく説明できるだろうか」。そんな不安から、電話を後回しにしてしまう方も少なくありません。

先に、要点をまとめます。

  • 電話で聞かれることの多くは、利用日時・行き先・車椅子やストレッチャーの要否・介助の範囲という限られた項目です
  • 話す内容を先にメモにまとめておけば、電話は5分前後で終わることがほとんどです
  • 内容によっては、その場で見積もりが出ないこともあります。折り返しになる場合の聞き方についても、後半で触れます

ここでは、初めて介護タクシー事業所に電話をかけるときに、何を準備し、何をどう伝えればよいかを順番に整理します。

電話で最初に何を伝えればいい?

「利用したい日時」「出発地」「到着先」の3つを最初に伝えると、その後の会話がスムーズに進みます。

事業所の担当者は、まず「いつ、どこからどこまで」を把握したいと考えています。電話をかけたら、名乗った後に「◯月◯日の◯時ごろ、△△病院から自宅まで利用したいのですが」というように、日時と出発地・到着先を先に伝えてみてください。

行き先が確定していない場合(通院先の診察時間が読めない、退院日がまだ仮決定など)は、「まだ確定していないのですが、目安として」と前置きした上で伝えれば問題ありません。事業所側も、確定前の相談として対応してくれることがほとんどです。日時が近すぎる場合は車両の空き状況によってお断りされることもあるため、可能な範囲で早めに連絡するに越したことはありません。

車椅子・ストレッチャーはどう伝えればいい?

「普段は車椅子で過ごしています」「寝たままの移動が必要です」というように、日常の状態をそのまま伝えれば十分です。専門用語を使う必要はありません。

車両の手配で最も重要な情報のひとつが、車椅子とストレッチャーのどちらで移動するかです。ここは無理に正確な用語を使おうとせず、「歩けるけれど支えが必要」「車椅子に座ったまま」「横になったままでないと難しい」といった、ふだんの生活の状態をそのまま話せば、担当者が必要な車両の種類を判断してくれます。

車椅子を自分で持っている場合は、折りたたみ式かどうか、電動車椅子かどうかも伝えておくと、車両への積み込み方法まで含めて確認してもらえます。リクライニング機能付きの車椅子や、酸素ボンベを携行している場合も、この段階で伝えておくと当日の準備が整いやすくなります。

体格や持病によって特別な配慮が必要な場合は、遠慮せずその場で伝えてください。事業所側も、当日になって初めて知るより、事前に把握しておいたほうが安全に対応できます。

介助はどこまでお願いできるの?

乗車前後の移乗介助や、車から目的地の受付までの付き添いは相談できますが、院内での長時間の付き添いや医療行為は対象外になることが一般的です。

「介助」と一言でいっても、範囲は事業所によって幅があります。ベッドから車椅子への移乗、玄関から車までの移動、車から降りて病院の受付までの付き添いといった内容は、多くの事業所で対応してもらえます。一方で、診察室の中まで付き添う、長時間の院内待機を頼む、といった内容は対応範囲外となることが多く、必要であれば家族の同乗や、別途付き添いサービスの利用を検討することになります。

電話では「乗り降りの介助をお願いしたいのですが、受付までの付き添いもお願いできますか」というように、具体的な場面を挙げて聞くと、対応可否がはっきりします。「介助してもらえますか」という漠然とした聞き方だと、どこまでを指しているのか事業所側も判断しづらいため、できるだけ場面を具体的にするのがコツです。乗降介助で頼めることを先に読んでおくと、電話で使う言葉のイメージがつかみやすくなります。

なお、介護保険を使う場合、対象になるのはあくまで通院等乗降介助などの介助部分です。運賃と、車椅子やストレッチャーといった機器のレンタル料は自費になる点は、電話の段階で認識をそろえておくと、後の見積もりで戸惑うことがありません。

料金はその場で教えてもらえる?

距離や介助内容によって変わるため、その場で正確な金額が出ないこともあります。目安を聞きたいときは「だいたいの目安で構わないので」と伝えると答えてもらいやすくなります。

介護タクシーの料金は、運賃・介助料・機器レンタル料が組み合わさって決まり、地域や事業所、当日の道路状況によっても変動します。そのため、電話の時点では「概算」までしか案内できない事業所も少なくありません。正確な金額を知りたい場合は、日時・区間・介助内容が固まった段階で改めて見積もりを依頼する、という流れになることが多いです。

電話の中では、運賃の目安、介助料の有無、機器をレンタルする場合の料金がそれぞれ別立てで発生することを確認しておくと、後で「思っていたより高かった」という行き違いを防げます。料金の内訳の考え方については、介護タクシーの料金の仕組みで整理しているので、電話の前に目を通しておくと質問がしやすくなります。運賃・介助料・機器レンタル料の3つがそれぞれどう決まるかをもう少し詳しく知りたい方は、介護タクシーの料金はなぜ分かりにくい?運賃・介助料・レンタル料の内訳も参考になります。

もし折り返しでの見積もり回答になった場合は、いつ頃までに連絡がもらえるかをその場で確認しておくと、返事を待つ間の不安が減ります。

電話で伝える6つの項目(利用日時・出発地と到着先・車椅子/ストレッチャーの別・介助の範囲・同乗の希望・介護保険の利用有無)を整理した図

「その日は対応できません」と言われたらどうする?

1件の事業所で断られても、別の事業所であれば対応できる可能性があります。地域や車両設備によって空き状況が異なるため、候補を複数持っておくと安心です。

初めて電話をかけた事業所で「その日時は空いていません」「その車両は今対応できません」と言われると、それだけで気持ちが折れてしまいそうになるかもしれません。ですが、これはよくあることです。介護タクシーは1事業所あたりの車両台数が限られていることが多く、特にストレッチャー対応車両や、特定の医療的ケアに対応できる車両は数が少ない傾向があります。

1件目で断られたら、次の候補にすぐ連絡してみてください。介護たくしーさーちのようなサイトで、あらかじめ複数の事業所をリストアップしておくと、こうした場面でも慌てずに次の連絡先へ移れます。断られた理由(車両が埋まっている、対応エリア外、対応できる介助の範囲外など)を聞いておくと、次に連絡する事業所を選ぶ際の参考にもなります。

日時に融通がきく場合は、「もし空いている時間帯があれば教えてください」と聞いてみるのも一つの方法です。希望時間からずらすことで対応してもらえるケースもあります。

家族が複数人で同乗したい場合、伝え方は変わる?

同乗を希望する人数と、それぞれの座席での過ごし方(付き添いなのか、単に同乗したいだけなのか)を伝えると、車両の座席数や配置を踏まえて対応可否を答えてもらいやすくなります。

利用者本人だけでなく、家族も一緒に病院や自宅まで同乗したいという場面は少なくありません。介護タクシーの車両は、車椅子やストレッチャーのスペースを確保する関係で、一般の乗用車より同乗できる人数が限られていることがあります。電話では「本人のほかに家族2人が同乗したいのですが、可能でしょうか」というように、具体的な人数を伝えてください。

介護保険を利用する場合は、家族の同乗が原則として認められないケースもあるため、同乗を希望する時点で、介護保険を使うのか自費で利用するのかも一緒に伝えておくと、事業所側も案内がしやすくなります。自治体やケアプランの内容によって扱いが異なるため、判断に迷う場合はケアマネジャーに事前に確認しておくと安心です。

電話をかける前にメモしておくと安心なこと

利用日時・出発地と到着先・車椅子やストレッチャーの別・介助してほしい範囲・同乗人数・介護保険の利用有無の6点を紙に書き出してから電話をかけると、話す内容に迷いません。

初めての電話は、誰でも多少緊張するものです。次の項目を先にメモしておけば、電話口で言葉に詰まる場面が減ります。

  • 利用したい日時(確定していなければ目安でも可)
  • 出発地と到着先の住所
  • 車椅子かストレッチャーか、ふだんの移動の状態
  • 頼みたい介助の範囲(乗り降り、受付までの付き添いなど)
  • 家族の同乗希望の有無・人数
  • 介護保険を使う予定があるかどうか

このメモは、そのまま次回以降の依頼にも使い回せます。予約前のチェックリストもあわせて確認しておくと、伝え漏れをさらに減らせます。定期的な通院で継続利用を考えている場合は、その旨も最初の電話で伝えておくと、日程調整の相談がしやすくなることがあります。

電話をかける前に一度深呼吸をして、メモを見ながら落ち着いて話せば、思っているほど難しいやり取りにはなりません。

この記事で持ち帰れること

  • 電話で聞かれる内容は、日時・行き先・車椅子やストレッチャーの別・介助の範囲というあらかじめ想定できる項目に限られると分かります
  • 「介助してもらえますか」ではなく、場面を具体的に挙げて聞くことで、対応可否がその場ではっきりします
  • 料金はその場で確定しないこともあるため、目安を聞く聞き方と、折り返しの場合の確認事項を持ち帰れます

まずはメモ用紙に6つの項目を書き出してみましょう

電話をかける前に、この記事に挙げた項目(日時・出発地と到着先・車椅子/ストレッチャーの別・介助の範囲・同乗人数・介護保険の利用有無)を、まずはメモ用紙やスマートフォンのメモアプリに書き出してみてください。それだけで、電話への心理的なハードルはかなり下がります。

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