介護保険で介護タクシーを使えるかどうかを調べていくと、必ず出会うのが「日常生活上または社会生活上必要な外出」という言葉です。通院等乗降介助(介護保険で乗り降りの介助が受けられるサービス)の対象を決める、いちばん大事な基準です。
この言葉が分かりにくいのは、「必要」の感じ方が人によって違うからです。本人にとっては趣味の外出も生きるために必要ですし、家族から見れば買い物も暮らしに必要です。しかし制度上の「必要」は、もう少し狭い意味で使われています。
かみ砕くと、「その外出をしないと、暮らしや健康の維持に支障が出るもの」「本人が自分で行かなければ済まないもの」というイメージです。通院はその代表で、受診しなければ健康の維持に関わり、本人が行かなければ診察になりません。
一方、公的な介護保険の財源で支える以上、楽しみや社交の外出まで広げることはできない——この線引きの結果が、「日常生活上必要な外出」という基準です。
なお、この基準が関わるのは介護保険を使う場合だけです。自費の介護タクシーには目的の縛りがないため、対象外の外出も介助付きで実現できます。「基準に当てはまるか」は、外出できるかどうかではなく、お金の出どころを決める話だと捉えてください。
この記事では、この基準を3つの軸に分解して、対象になり得る外出・なりにくい外出の具体例、迷いやすいケースの考え方、そして対象外だったときの道筋まで、順番に整理します。読み終えるころには、「うちのあの外出はどっちだろう」に自分なりの見当がつけられるようになるはずです。

